小児歯科

Pediatric dentistry

小児歯科について

お子様が生涯健康な歯を維持していくためには、子供の頃からの定期的な管理が大切です。小児歯科は、虫歯を治療することはもちろん、大切なお子様の歯の健康を守る役割があります。お家の方と一緒に健康的で丈夫な歯を育てていくサポートをしたいと考えています。

マイナス1歳から10代までのお口の健康管理

  • マイナス1歳

    お母さんのお口の中を清潔に保つことで、生まれてくる赤ちゃんのむし歯を産まれる前から予防することが可能です。

  • 幼児期

    お口の健康管理を始めていく大切な時期です。 お家でのブラッシングに加えて定期的な検診を受けましょう。

  • 学童期

    おやつを口にする機会が増え、虫歯ができやすくなる時期です。 歯科医院で適切な指導を受け、予防習慣を身につけましょう。

  • 10代

    歯周病の初期段階である歯肉炎が増えてくる時期です。 親による仕上げ磨きをしなくなり、お口の環境が悪くなりやすくなります。 自発的に定期的な検診を受けるようにしましょう。

子供の頃のお口の健康習慣が大人になってからのお口の健康につながります。
大人になってから歯を失うことのないように子供のうちから定期的な検診を受ける習慣を身につけましょう。

マイナス1歳からの虫歯予防

コンセプト

妊娠してから出産までの約10か月の間には、体に様々な変化が現れます。お口の中も例外ではありません。

妊娠するとだ液が減り、細菌の活動が活発になるためむし歯や歯周病が進行しやすくなります。 またつわりがある方は、満足に歯磨きができなかったり、頻回なおう吐によって胃酸が歯を溶かしてしまうこともあります。

お母さんの歯周病は、早産・低体重児等のリスクがあることやあごの発育は、胎児のうちから始まることがわかってきています。 歯並びは健康維持のために非常に重要な部分です。

お母さんのお口の中を清潔に保つことで、生まれてくる赤ちゃんのむし歯を産まれる前から予防することが可能です。

生まれたばかりの赤ちゃんのお口に虫歯菌はいません

むし歯の原因菌(ミュータンス菌)はお母さんや周りの家族の人の唾液から感染します。子育て感染(母子感染)ともいい、大人が使用した箸やスプーン、キス、フーフーしてから与える、噛み与えなどにより、お子さんに感染していきます。

歯が生えてないうちはミュータンス菌は住みつかず、歯が生える生後6ヶ月から感染が始まります。 1歳7ヶ月~2歳7ヶ月は「感染の窓」と呼ばれ最も注意が必要です。

この時期にミュータンス菌の感染を防ぐことが出来ればお子さんのむし歯になる確率を低下させることが出来ます!

2歳までにむし歯菌がなかった子供が4歳になったとき、むし歯の本数はわずか0.3本。2歳までにむし歯菌の感染があった子供が4歳になったときには、むし歯の本数は5本もありました。わずか2年のケアの違いでむし歯の本数に16倍もの差ができました。

感染してしまうと2歳児から急激にむし歯が増加してくるため、それより前の時点でお子さんの定期管理を始めることをおすすめします。

資料:B Köhler, I Andréen & B Jonsson.
The earlier the colonization by mutans streptococci, the higher the caries prevalence at 4 years of age.
Oral Microbiol Immunol. 1988 Mar;3(1):14-7.

家族のためにもまずはお母さんから

イエテボリ大学の研究ではむし歯菌が多い母親が、歯科医院で適切なむし歯治療をし、歯のクリーニングを行うことで、子供へのむし歯菌の感染率やむし歯の発症率が大幅に低下したと発表しています。

資料:B.Kohler et al 1983

母親の予防管理によるむし歯菌感染率

むし歯の多いお母さんから生まれてきた赤ちゃんには、むし歯の発症率も高くなる傾向にあります。 お母さんの意識ひとつで、将来のお子さんの口腔内は決まります。
「わが子をむし歯から守りたい・・・」大切なお子さんだからこそ、むし歯で辛い想いはさせたくないですよね。

お母さんや、ご家族の方が自分の口腔内のむし歯菌の質を変える努力をすること、健康なお口を維持すること、

これが、お子さんをむし歯から守る秘訣です。
また、ミュータンス歯だけでなく歯周病菌もお母さんや周りの家族の唾液から感染してしまうため、歯周病予防の観点からもマイナス1歳からの予防を行なっていくことが大切です。

当院では、「家族予防」をすることでマイナス1歳からの虫歯予防・歯周病予防を目指します。マイナス1歳・・・つまり、お母さんや周りのご家族の口腔の健康がなによりも大事なのです。
まずは、お母さんから歯科医院での検診を受けてみませんか?

幼児~成人までの虫歯予防のポイント

幼稚園や保育園に入園してから間食をする機会が増えてきます。食後の歯磨きと間食の回数を必要最小限にしておくことが大切です。
お口の中のバランスは、歯の表面からカルシウムやミネラルが溶け出す「脱灰」と溶け出したミネラルが再び歯に取り込まれる「再石灰化」を繰り返して保たれています。食事の回数が増えると虫歯の原因菌が酸を作り出す回数も同時に増えていき、1日のうちで脱灰の占める時間が長くなっていきます。その状態が続くと歯に穴が空いて、いわゆる虫歯の状態になってしまうのです。
間食の回数をできるだけ少なく抑えて再石灰化の時間を増やし、間食の歯磨きを忘れずにすることが予防の基本です。

子供の歯磨き

保護者磨き

歯が生えてきたら歯磨きのスタートです。まずお子様が歯ブラシに慣れるようにしましょう。歯ブラシを鉛筆の持ち方でにぎり、お子様の頭をお母さんの膝にのせて、寝かせた形で磨きます。

また、虫歯になりやすい奥歯と上の前歯は特に注意して磨きましょう。歯ブラシの毛先を歯にきちんとあて、軽い力で小きざみに動かして磨きます。

手の力を抜いて優しく一本ずつ磨きましょう。この時、上の前歯の近くにあるひだ(上唇小帯)を強くこすらないように気をつけましょう。

仕上げ磨き

この時期は、乳歯が生えそろったり、顎が大きくなって歯と歯の間にすき間ができたり、最初の永久歯である奥歯(第一大臼歯)が生え始めるなど、口の中の変化の激しい大切な時期です。子供が磨いた後に、保護者が仕上げ磨きをしてあげましょう。

特に、生えはじめの背の低い奥歯や生え変わりの歯並びが凸凹している部分などは、歯ブラシが届きにくいので、歯ブラシを口のななめ横から入れ細かく動かすなどの工夫をして丁寧に磨くように心がけましょう。

点検磨き

乳歯と永久歯の交換が始まり、永久歯が生えてきます。永久歯はこれから一生使用するとても大切な歯です。子供が磨いた後には、不充分なところを磨いてあげるようにしましょう。歯と歯の間や歯と歯ぐきの間は汚れが残りやすいため、特に注意してください。

また、生えたての奥歯(6歳臼歯)は、やわらかく酸に弱いだけでなく、背も低いので、特に丁寧に磨きましょう。

虫歯を予防するフッ素

フッ素は歯を強くする成分で、虫歯に対して抵抗力の弱い乳歯などを虫歯から守る薬剤です。初期の虫歯を修復する効果や歯垢の中にある虫歯菌の働きも抑える効果もありますので、虫歯予防に効果的です。フッ素の応用には「フッ素入り歯磨き粉」・「フッ素のうがい薬」・「歯科医院で行うフッ素塗布」などがあります。

当院では、お子さんのお口の状態に合わせた効果的なフッ素の使用法を提案いたしますので、ぜひご相談ください。

学校健診

お子さんの学校健診の結果はご覧になりましたか?
実は、要観察や異常なしを問わず、すべてのお子さんが 歯科医院で検査を受けた方が良いというのをご存じでしょうか。

学校健診は目で分かる範囲のチェック

学校健診は、主に目視で簡易検査を行います。保護者の方やお子さん自身では気付かない虫歯や歯並びのズレを識別するのが目的です。

歯科医院と同じように感じると思いますが、学校健診では歯科医院で行うような精密な検査ができません。学校ではレントゲンをはじめとする設備が無い上、一人一人の診察時間も限られています。歯科医師がどんなに気を付けても、目視のみでは歯と歯の間の小さな虫歯や、歯と骨の状態まで正確に知ることはできません。実際に歯科医院では、歯と歯の間に虫歯が見つかったり、矯正が必要と診断されたりすることもあります。

歯科医院の検査は総合的な診断

歯科医院では、1人1人に合った治療や予防処置の方針を決めるための検査を行なっています。

歯と歯の間や歯の根など、見えないところに虫歯がないか、顎の骨の状態や永久歯の生えるスペースがあるか、歯肉の状態や磨き残しの有無など総合的に調べていきます。

正確な診断には、お口の中がよく見えるように照明が整った歯科医院の環境や、レントゲンなどの検査機材が欠かせません。

子供の学校健診の結果は、あくまで目安です。絶対大丈夫だとは言えません。
可能な限り学校健診とは別に、歯科医院での検査もおすすめします。

検査の目的は早期発見・早期治療

黒いけど放置してある虫歯や、痛みが出ている虫歯、神経まで感染して痛みがなくなってしまった虫歯など、虫歯の状態も様々です。

特に乳歯の虫歯は後で抜けると思って放置されがちです。放置すると、永久歯が正しい位置に生えられなくなったり、生えてくる前に永久歯が虫歯になったりするおそれもあります。

定期的に歯科医院で健診を受けることで、初期虫歯が見つかったとしても、歯科医師・歯科衛生士による定期管理と丁寧なホームケアによって、歯を削らず維持できることもあります。もし、経過観察中に虫歯が進行した場合でも、最小限の治療で済みます。

お子さんの成長はとても早く、お口の状態はどんどん変わっていきますので、適切な予防や治療を行うためには、歯科医院での定期検診が欠かせません。ぜひ一度、検査にお越しください。

保護者の方へ

お子さんには学校健診がありますが、保護者の方のお口の状態はどうでしょうか。大人には大人のリスクがあり、歯を失う最大のリスクである歯周病の適切な管理が大切です。

健診をしばらく受けていない方は、お子さんと一緒に歯科医院での検査をおすすめします。